Japanische Klassiker mit Furigana
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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
Lesen Sie 日本合戦譚 (あねがわのかっせん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.771 Zeichen · 313 Bildschirme
一言も下さずに奥へ立った後を、夜半に及ぶまで宗矩は端然と黙坐したまま退かない。我を折った家光は、ついに宗矩の言を聴いて見るとこうである。
「凡そ宗門の徒は深く教を信じ、身命を軽じても改えない事武士の節義に於けると異ならない位である。織田信長の兵威をもってして、如何に本願寺の宗徒、或は伊勢長島、三河の一向一揆に手を焼いたかを見てもわかる次第だ。内膳正重昌、若い頃、大阪陣に大任を果したから、百姓一揆何程の事あろうと思召されようが、それは大違いである。且亦、重昌人物たりと雖も三河深沢に僅か一万五千石の小名に過ぎない。恐らくは、細川の五十四万石、有馬の二十一万石、立花の十一万石等々の九州の雄藩は、容易に重昌の下命に従わないであろう。その為に軍陣はかばかしからず、更に新に権威ある者を遣すことにでもなった暁、重昌何の面目あって帰ろうや。あたら惜しき武士一人殺したり」情理整然とした諫言に、流石の家光も後悔したけれども及ばなかった。悲しい事には、宗矩の言一々的中したのであった。重昌出陣に際して書残したものに、次の如く誌されてあった。
去年の今日は江城に烏帽子の緒をしめ、今年の今日は島原に甲の緒をしむる。