Japanische Klassiker mit Furigana
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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
Lesen Sie 日本合戦譚 (あねがわのかっせん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.771 Zeichen · 313 Bildschirme
恰も四月末だったので、百姓が麦を刈り取って馬に積み、前を通った。すると氏政は側近の者に、あれで直ぐ麦飯を作って持って来いと命じた。ところが、此の時は武田信玄と両旗であったと見え、同席している信玄が、流石に氏政は大身である、百姓の事は知らないのも無理はないが、麦は乾かしたり搗いたりしなければ、飯には炊けないと云って説明した。
信玄のことだから、恐らく腹の中では嘲って居たことであろう。
氏政の頭は、こんな調子である。それだけに名君の誉ある父の氏康の心痛は思いやられる。氏康は川越の夜戦に十倍の敵を破り勇名を轟かした名将で、向う創のことを氏康創と云われた位の男である。
一日、父子で食事をしたところ、氏政が一杯の飯に二度汁をかけて食った。氏康これを見て落涙し北条家も自分一代で終ると言った。食事は毎日のことだから、貴賤に限らずその心得がなくてはならない。初めから足りない様な汁のかけ方をするような不心得では、軍勢の見積りなど出来るか。それでは戦国の世に国を保つことは思いも寄らぬと言って長歎したと云う。昔の食事は、汁椀などはなく、大きな鉢に盛った汁を各自の飯椀にかけるのだった。