Japanische Klassiker mit Furigana
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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
Lesen Sie 日本合戦譚 (あねがわのかっせん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.771 Zeichen · 313 Bildschirme
乃木は我の寡兵を悟らせまいとして尽く地物に隠れさせ、発砲を禁じ、銃剣をつけさせ、満を持した。午後七時薩軍は、ふり積む白雪の上を、黒々となって吶喊して来た。乃木軍始めて発砲し応戦したが、薩軍の勢は次第に増し、乃木隊頗る苦戦である。将校も負傷者の銃をとって射撃し、激戦午後九時にまで及んだが、薩軍は次第に官軍を包囲する状態にまでなり、全滅の危機に臨んだので、退却を決意し、河原林少尉をして、軍旗を捲いて負わせ、兵十余人を付けて衛らしめ、火を挙げるのを合図に、全軍囲を衝いて千本桜に退却集合することを命じた。櫟木、山口の両軍曹に命じて火を挙げさせようとしたが、折あしく此夜は、微風も起たない穏かな夜なので、容易に火が挙らない。やっと火の付いたのが、九時四十分頃であった。命令一下各自血路を開いて退却千本桜に集合出来たので、乃木少佐が隊列を検閲すると、肝心の河原林少尉の姿が見えない。最後の激戦の時、刀を揮って挺身する姿を見たから、或は敵手に陥ったのではないかとの事に、乃木少佐は驚いた。軍旗を失わば何の面目があろう、我は引き返して軍旗を奪還するから、志ある者は我に従えとて、奮然として行こうとするのを、村松曹長、櫟木軍曹等が泣いて諫止した。