Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.649 Zeichen · 27 Bildschirme
自分が思い惑ったのも、つきつめれば妹たちの暮しぶりをみ、その非難を聞いて、自分の生活よりは意義があり充実しているように考えたからだ。なんというあさはかな無反省なことだったろう、縫い張りや炊事や、良人に仕え子を育てる煩瑣な家事をするかしないかが問題ではない、肝心なのはその事の一つ一つが役だつものであったかどうかだ、女と生れ妻となるからは、その家にとり良人や子たちにとって、かけがえの無いほど大切な者、病気をしたり死ぬことを怖れられ、このうえもなく嘆かれ悲しまれる者、それ以上の生き甲斐はないであろう、然し。それでは自分はこの家にとってはたしてかけがえのない者であるかどうか、どうしても無くてはならぬ者だろうか。……弥生には然りと思うだけの自信も勇気もなかった。
「そうだ」彼女はしずかに面をあげた、「少なくとも良人や子供にとってかけがえのない者にならなくては」そう呟くと、なにかしら身内にちからが湧いてくるようだった。弥生は立ちあがり箪笥の小抽出の中から青銅の風鈴をとりだした。秋のころ妹たちが外していったのを、どうしても吊りなおす気になれなかったものである、――あのときから気持がゆらぎだしたのだ。