Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.765 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

それが最初のことだった、嫁して百五十日あまり、口数の少ない、しずかなひとだと信じていた良人なのに、それから眼にみえて変りだした。言葉つきは切り口上になり、態度は冷たくよそよそしいものになった、どんな小さな過失もみのがさず棘のある調子で叱りつけた、そして姑までがしばしば、

「もう少し気をはたらかせないといけませんね、こんな小人数の家でそれでは困りますよ、もっとしっかりしなければね」

そう云ってたしなめるのだった。姑は両眼が不自由だった、それもとし老いてからの失明で、勘が悪く、起きるから寝るまでいろいろと菊枝の介添が必要だった。気のやさしい、おもい遣りのあるひとではあったけれど、三郎兵衛のことになるとまるで菊枝に同情がなくなった。――そうだ、もっとしっかりしなければ。菊枝はそう心をひきしめ、過失をしないように、できるだけ良人や姑の気にいるようにとつとめた。しかしそういう緊張しすぎた気持はかえって過失をしやすいものである、良人の小言は多くなるばかりだったし、菊枝は神経が昂ぶって眠れない幾夜かを明かすようになった。

春になってからの或る夜、九時すぎてからのことだったが、三郎兵衛は急に酒をのむと云いだし、家に無ければ買って来いと命じた。