Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.620 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

なかでもそのひと言が胸にしみて、身うちにふしぎな力感の湧くのさえ覚えたくらいである。

私が萩原へとつぐ気になったのは、けれどそういうことが原因のぜんぶではなかった。まだまだ和歌へのみれんがたぶんにあった。いつかおばあさまの仰有ったように私の歌は格調の正しさでこそ人にも褒められるが、心をうつ美しさに欠けていることは自分にも朧げながらわかっていた。良人をもち子供を抱いて、もし世の中のまことのよろこびかなしみがわかるなら、そうして読む者の心をうつような美しい歌が作れるものなら、……底をうちまければ、そんな気持のほうが寧ろ強かったのである。

祝言の日どりがきまると、それまで考えもしなかった不安がにわかに重くのしかかってきた。それはふたりの子供をどう扱うべきかということだった。良人に仕える道はひと筋きりないが、子供にはそれではいけない。継子、継母という気持をもたれたらもうとりかえしがつかぬ、そう思いつくと、こんどの結婚でいちばん大切なのはその点だということがはっきりしてきて、追いつめられるような不安にかられた。初めにこうしたらという心構えが何かあるのではないか、そう考えていろいろ思案したが、考えあぐねた末はやはり長橋へお知恵を藉りにゆくより仕方がなかった。