Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.620 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

そういうよい結果に恵まれたのはおそらく偶然に違いない。けれども私はその偶然だけには今でも感謝したいと思う。

……明くる年の冬のはじめに殿さまがお帰国なさるまでの一年間は、それまでの十年にも比べたいほどいろいろと私の成長に役立って呉れた。その大きな一つは妻というものの生き甲斐を知ったことだ。家庭は妻の鏡にも似ている。誇張していえばこちらの心を去来するそのおりおりの明暗までが、すぐにそのまま家庭の上にあらわれるようだ。子供たちや召使の者たちはもちろん、家の中の空気までが妻の心の動きについてくる。おそろしいとも思ったけれど、もっと強く私は自分の生き甲斐をそこにたしかめた。家を守り立ててゆくということは事務ではなく、歌を詠むのとおなじ創作である。この世にはどれだけ家の数があるかわからないが、ひとつとしておなじ家庭のあり方はない筈だ。よかれあしかれみんなどこかしら違う。それは桜という題で詠んでも、僅か三十一文字の歌が百人詠んで百人それぞれ違うのと似てはいないだろうか。そのうえ歌は詠み損じても裂き捨てればよいが、生活は決してやり直しができない。在った一日は在ったままで時の碑へ彫りつけられてしまう。