Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.743 Zeichen · 22 Bildschirme
「どういう品をお出し申しましょう」
「どれでもよい、わしが選ぶから順にとりだしてくれ」
「かしこまりました」
そよは先ず古いほうの箪笥をあけ、抽出の中からつぎつぎに衣類をとりだして藤右衛門の前へならべた。
「格之助、おまえもなみになにか選んでやれ」
藤右衛門は燭をあかるくして、そう云いながら格之助とともに衣類を選みはじめた。
それはみんな着古した木綿物だった、すっかり洗いぬいて色のさめたものや、たんねんに継をあてたものばかりだった。――こんなものを大切そうに箪笥へしまって置くなどとは。そう思いながらみていくと、取り出されるものみな木綿で、どれもいくたびか水をくぐり、なんどか仕立て直された品ばかりである。夏のもの冬のものみんなおなじだった。ややみられたのはふたかさねの紋服と紋服用の帯であったが、そのほかはどれひとつとして新らしいものはなく、まして絹物はひと品もなかった。
「これでしまいか」
藤右衛門はなかばあきれて訊いた。
「はい、あとはお髪道具がひとそろえあるだけでございます」
「そのほかにはもうないのか、まったくこれでしまいなのか」
「……はい、お納戸の長持には、まだお着古しもございますけれど、もう継ぎはぎもならぬほどのお品で、ひとの眼に触れては恥ずかしいゆえ、よいおりをみて焼き捨てよ、との仰せでござりました」