Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.547 Zeichen · 23 Bildschirme
あなたにはそう思えませんか」
「そう思います、母上、そう思います」
「それならご自分の修業を一心になさい、そして千人にすぐれた武士になるのです、それだけがあなたのつとめなのです、母のことなど気をつかってはいけません、母には母のつとめがあるのです、あなたを育てることと……父上のつぐないをすることです」
「つぐないと仰しゃるんですか」
「つぐないです、父上の仕残した御奉公をつぐない申すのです、それが茅野百記の妻としての一生のつとめです」
安之助はしんそこから感動していた、かれは涙に濡れた眼をぬぐい、屹とかたちを正して母を見あげた。
「よくわかりました母上、わたくしは一心に修業をいたします、そして千人にすぐれた武士になります」
「それをお忘れなさるな、道はまだまだ遠いのですよ」
「けれどいつかは、母上……いつかはわたくしたちの真心が、とのさまにわかって頂ける時がございますね」
その言葉までうち消す気強さはみよにはなかったし、しかもながく忘れることができなかったのである。母と子の辛苦はどのような酬いをも期待するものではない、おのれのまことをつらぬきとおせばそれでよいのだ、けれども「いつかはこの真心をごしゅくんにわかって頂けるだろう」