Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.412 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

箸をつけずに置くと「好き嫌いは武士の恥です」と云って喰べるまでは立たせなかった。

「いったいどうしたのだろう」弁之助には叔母のようすの変ったのがふしぎでならなかった。「どこかおかげんが悪いので、それであんなに不機嫌なのではないかしら」子供の頭でそんなようにも考えてみた。そしてもう少し経ったら、まえのようにやさしい叔母になって呉れるだろうと、……然しそれは結局かなえられない望みだったのである。

中秋の九月なかごろ、父の民部は御主君飛騨守信房のお供をして江戸へ立った。大目付から用人に抜擢されたので、おそらくそのまま江戸詰になるだろうということだった。しゅったつする前夜、父は弁之助を呼んでこう云った。

「江戸へまいっておちついたらおまえもよび寄せるが、まず二三年はそのいとまもないだろうと思う。父が留守のあいだは叔母上の申し付をよくきいて、怠りなく勉強しなければいけない」

そして来年になったら剣法の稽古もはじめるよう。きっとわがままを慎しんで叔母にせわをやかせるなと訓した。母が亡くなって間のないときだし、今また父が遠く江戸へ去ると聞いて、弁之助は胸がいっぱいになるほど悲しかったが、――でも父上がお留守になれば、こんどこそ叔母さまはきっとやさしくなって下さるだろう、そう思いながらこみあげてくる涙をじっとがまんしていた