Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.032 Zeichen · 22 Bildschirme
もうかなり以前のことだが、朝、着替えをしているとき、手に袴を持って、穿こうとした形のまま、途方にくれてしまった。……八重はそのときまだ奉公に来て早々だったが、若主人が袴を持ったまま惘然と考えこむのを見て、「いかがあそばしました」と訊いた。平三郎はうむといってなお暫く考えていたが、やがて、「やっぱりこうか」と呟きながらようやく袴へ足を入れた。それから逞しいというよりふっくりしたといいたい顔で、にこっと笑った、「今ちょっとこの袴のどっちを前にしたらいいかわからなくなってね」「……」「やっぱり、この板のある方がうしろだったよ」そして安心したように頷いた。……これが八重の戒めた「袴」の起りである。こういう類のことが、ずいぶんあった、毎朝の出仕の支度でも、八重が付く以前には、よく間違いをした。紙入の代りに足袋を懐中したり、扇子を忘れて文鎮を持っていったり、熨斗目の上へ継ぎ裃を着るなどという例がいくらもあった。
彼は自分の放心癖は、十八歳で書物番を命ぜられてから始まったのだと信じている。……平和な家庭に温かい父母の愛を享けて育った彼が、世俗と縁の遠い書物に没頭し始めたのだから、「放心癖」