Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんばしふきん
日本橋附近
田山 花袋
Lesen Sie 日本橋附近 (にほんばしふきん) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.383 Zeichen · 37 Bildschirme
十二
『何うしたんです?』
『胃潰瘍で、血を沢山吐いたりして、すぐでしたから』
『それは気の毒だったね』
『もう少しね、話でもするひまがあったらと思いましたよ』
昔のことなども少しはきき噛って知っているので――一時新聞などでその艶話を伝えられた名高い帝劇の役者とも二、三年前の舞台の上の急死であわただしく別れて来ているのを知っているので、一層そのMの身の上に心を惹かれずにはいられなかった。
十二
『時というものは早く経って行ってしまうものですね……。初めて逢った時分には、あなたもまだ若かったがな!』
そうした言葉はMを動かさずには置かなかった。
ほかの座敷に客もなくってひまだったためか、Mはそこに落付いて座って、いろ/\と話をし出した。震災の前と後とではそこにいる妓だちの上にも多くの変遷があるのだった。『お、もうあの人もいないのかえ? どこに行ったんだね。大阪へ? それじゃやっぱり向うにいい人がいたわけだね』こんな言葉がそれからそれへと出て行くのだった。
その日はなぜかMは非常に感じ早かった。丸で別な人か何ぞのように見えた。話し上手で、しゃれがうまくって、真面目で、それでいてどこか溌剌としたところのあるような妓だったが、今ではそのいろ/\な気質がなくなって、あとに真面目なところと感傷的なところだけが目に立って残った。