Japanische Klassiker mit Furigana
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にっきちょう
日記帳
江戸川 乱歩
Lesen Sie 日記帳 (にっきちょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.863 Zeichen · 14 Bildschirme
如何にも大事そうに白紙に包んだ、十一枚の絵葉書が、雪枝さんからの絵葉書が出て来たのです。恋人から送られたものでなくて、たれがこんなに大事そうに手文庫の底へひめてなぞ置きましょう。
私は、にわかに胸騒ぎを覚ながら、その十一枚の絵葉書を、次から次へと調べて行きました。ある感動の為に葉書を持った私の手は、不自然にふるえてさえいました。
だが、どうしたことでしょう。それ等の葉書には、どの文面からも、あるいはまたその文面のどの行間からさえも、恋文らしい感じはいささかも発見することが出来ないのです。
それでは、弟は、彼の臆病な気質から、心の中を打開けることさえようしないで、ただ恋しい人から送られた、何の意味もないこの数通の絵葉書を、お守りかなんぞの様に大切に保存して、可哀相にそれをせめてもの心やりにしていたのでしょうか。そして、とうとう、報いられぬ思いを抱いたままこの世を去ってしまったのでしょうか。
私は雪枝さんからの絵葉書を前にして、それからそれへと、様々の思いにふけるのでした。しかし、これはどういう訳なのでしょう。やがて私は、その事に気づきました。弟の日記には雪枝さんからの受信は十回きりしか記されていないのに(それはさっき数えて見て覚ていました)今ここには十一通の絵葉書があるではありませんか。