Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あかるきせかいへ

明るき世界へ

小川 未明

Lesen Sie 明るき世界へ (あかるきせかいへ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.747 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

生活に興味を失っている若い人々の中では、毎日うなだれて沈んでいるものもありましたが、一命を賭けても、幸福の世界を見いだしたいと思ったものもありました。そして、夏の日が海のかなたに傾いて無数のうろこ雲が美しく花弁のように空に散りかかったときに、身を投げて死んだものもありました。

こうして、死んだ人々に対しては、だれも悲しいというような感じを抱きませんでした。このままこの国に朽ちてしまって土となるよりは、生まれ変わって幸福の島へゆくことがどれほど楽しい愉快なことであるかしれなかったからです。

そして、海の中に身を投げて死ぬほどの勇気もなく、いたずらに、醜く年を取って木の枯れるように死んでしまうことが、その美しい死に較べたら、どんなにか陰気で、また暗い事実でありましたでしょう?

日が沈むころになると、毎日のように、海岸をさまよって、青い、青い、そして地平線のいつまでも暗くならずに、明るい海に憧れるものが幾人となくありました。海は、永久にたえず美妙な唄をうたっています。その唄の声にじっと耳をすましていると、いつしか、青黒い底の方に引き込められるような、なつかしさを感じました。