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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

Lesen Sie 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.970 Zeichen · 48 Bildschirme

Aozora Bunko

未亡人もキク子も、兄は死んだものと、すでに諦めきっているようであった。まったく、この家族たちの感情の上では、兄はもう居ないもの、帰らぬもの、死んだものときまっている様子である。咲子は生きている兄がいると知ったときに、信じられないような気持であった。その謎も、どうやら、解けるではないか。咲子は思い知った。博司は生きて日本には帰ることができないワケがあるのだ。彼はすでに「癩」に犯されているからである、と。

もう一人、毎月、月末に一度だけ、きまって訪ねてくる怪しい人物がいた。野草通作という中年の男である。高価な着物を着流しに、いかにも結構な楽隠居という様子であるが、いかにも人品が下司である。女中のタケヤにきいてみた。

彼女の話によるよ、野草通作はお茶にも菓子にも手をつけたことがない。包んで貰った菓子は、帰るとき、ハイヨ、と云って見送りの女中に投げてやり、毒があっても知らねえよ、と云いすてて帰るのだという。タケヤはいかにも顔をしかめて、あの男はイヤらしい好かない人物だという表現をするのであるが、その素性については知らない。ここの女中はみんな小女ばかりで、古い女中は一人もいなかった。