Japanische Klassiker mit Furigana
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えいがとらいのもんだい
映画と癩の問題
伊丹 万作
Lesen Sie 映画と癩の問題 (えいがとらいのもんだい) von 伊丹 万作 (いたみまんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.941 Zeichen · 10 Bildschirme
その地蔵も何べんどす(癩)になでられたかわからんぞ。もうお前にはどすがうつったはずじゃ。どすは空気伝染じゃぞ。」
私はあおくなってそこの小川で手を洗うやら一人で大騒ぎをやったが、このときの救われない恐怖と不安はいまだに忘れることができない。
私の生れた町の側に石手川という川があり、ここの堤防にはよく癩患者が野宿をしていた。
あるとき私はこの堤防の道幅の狭いところを歩いていると、乞食らしい男が、すっかり道を遮断して寝転んでいた。近づくままに顔を見るとそれはもう末期にちかい癩患者で、眼も鼻も毛髪もまったくなく、口と鼻腔だけが無気味な闇黒をのぞかせていた。顔の色はところによって勝手に変色したり褪色したような感じで、部分的な変化が多く、一貫した主色というものが感ぜられなかったが、だいたいの感じは真珠貝の裏に似ており、紫や桜色にテラテラと輝いて見えた。そして全体が火傷のあとのように引きつって見え、顔というよりも、むしろ何か極めて薄い膜を根気よく張り重ねてこしらえた不規則な形の箱のような感じがした。
私は、ちらと見た瞬間、それらのことを感じると、今度は反射的に息をころしながら、道端の草の茂みの中へ踏み込んでそこを通り抜け、駆け出さんばかりにしてそこを遠ざかった。