Japanische Klassiker mit Furigana
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はるのとうぞく
春の盗賊
Lesen Sie 春の盗賊 (はるのとうぞく) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.212 Zeichen · 58 Bildschirme
いままで、二十数年間、何もせずに無用の物語本ばかり耽読していた結果であろう。私は自身の、謂わば骨の髄にまで滲み込んでいるロマンチシズムを、ある程度まで、save しなければならぬ。すべて、ものの限度を、知らなければいけない。多少、凡骨に化する必要が在る。何故ならば、くるしいことには、私は六十、七十まで生きのびて、老大家と言われるほどの男にならなければ、いけない状勢に立ちいたってしまっているのである。私はそれを、多くの人に約束した。あざむいては、ならぬ。いまでは私は、世話しなければならぬその義務の在る数人をさえ持っている。高尚の趣味を有する、極めて小人数の読者は、私の骨の固くなるのを、ひそかに惜しむにちがいない。それは、ありがとう。君は、いつでも優しかった。お達者で、いつまでもお達者で、暮していて下さい。けれども、私は、何もせず、このまま君に甘えては居られない。私は、だまっていては、私自身の明日の食糧にさえ困るのだ。ああ、私が、いますこし、お金持であったら!
それやこれやで、私は、私自身、湖畔の或る古城に忍び入る戦慄の悪徳物語を、断念せざるを得なくなった。