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Japanische Klassiker mit Furigana

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はる

春

豊島 与志雄

Lesen Sie 春 (はる) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.464 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

ぐっすり眠ってしまう。

狭い室内で、息と息とが交り合って、朝の六時まで雑居である。

けれど、そういうことが二三度あると、昼間意識のはっきりしてる時に、誰かが、死なば諸共の具体的な提議をした。夜中に大地震があったら、真中の寝台の下にもぐり込むこと、そしてなお余裕があったら、左列の真中のから右列の真中のに這い込んで、六人一つ処にかたまること。

和田弁太郎の寝台は、一番端の窓際にあった。だが、皆が這い込む筈の寝台は、すぐ右側の隣りだった。

そこには、脂ぎって肥満した、多少愚鈍な慷慨悲憤癖のある男が寝ている。その寝床の下に六人の者が駆け込んで、寝間着のまま一団となる。押し合い抱き合いうようよして……。

然し、大地震なんか全く千載一遇だから、滅多にあるものではない。とは云え、ないとも限らない。大気の淀んだ、むーっとする春の夜である。恐らく月の色まで変ってるかも知れない。

和田弁太郎は、仰向の次には右を下にして寝るのが衛生的だと聞いていた。それをむりに、隣りの寝台を鼻先から避けるために、左を下にして寝るのである。そのせいか、猶一層変に寝苦しい。

誰かがむにゃむにゃと口の中で寝言をいう。