Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はる
春
Lesen Sie 春 (はる) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.519 Zeichen · 20 Bildschirme
けれどもそこに腰をかけるのは却って人目に立ち兼ねなかった。人目は?――彼等の前後には観覧人が三四人、今も普賢や文珠の前にそっと立ち止まったり歩いたりしていた。
「いろいろ伺いたいこともあるんでございますけれども、――じゃぶらぶら歩きながら、お話しすることに致しましょうか?」
「ええ、どうでも。」
広子はしばらく無言のまま、ゆっくり草履を運んで行った。この沈黙は確かに篤介には精神的拷問に等しいらしかった。彼は何か言おうとするようにちょっと一度咳払いをした。が、咳払いは天井の硝子にたちまち大きい反響を生じた。彼はその反響に恐れたのか、やはり何も言わずに歩きつづけた。広子はこう言う彼の苦痛に多少の憐憫を感じていた。けれどもまた何の矛盾もなしに多少の享楽をも感じていた。もっとも守衛や観覧人に時々一瞥を与えられるのは勿論彼女にも不快だった。しかし彼等も年齢の上から、――と言うよりもさらに服装の上から決して二人の関係を誤解しないには違いなかった。彼女はその気安さの上から不安らしい篤介を見下していた。彼はあるいは彼女には敵であるかも知れなかった。が、敵であるにもしろ、世慣れぬ妹と五十歩百歩の敵であることは確かだった。