Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
半七捕物帳
一
四月の日曜と祭日、二日つづきの休暇を利用して、わたしは友達と二人連れで川越の喜多院の桜を見物して来た。それから一週間ほどの後に半七老人を訪問すると、老人は昔なつかしそうに云った。
「はあ、川越へお出ででしたか。わたくしも江戸時代に二度行ったことがあります。今はどんなに変りましたかね。御承知でもありましょうが、川越という土地は松平大和守十七万石の城下で、昔からなかなか繁昌の町でした。おなじ武州の内でも江戸からは相当に離れていて、たしか十三里と覚えていますが、薩摩芋でお馴染があるばかりでなく、江戸との交通は頗る頻繁の土地で、武州川越といえば女子供でも其の名を知っている位でした。あなたはどういう道順でお出でになりました……。ははあ、四谷から甲武鉄道に乗って、国分寺で乗り換えて、所沢や入間川を通って……。成程、陸を行くとそういう事になりましょうね。江戸時代に川越へ行くには、大抵は船路でした。浅草の花川戸から船に乗って、墨田川から荒川をのぼって川越の新河岸へ着く。それが一昼夜とはかかりませんから、陸を行くよりは遙かに便利で、足弱の女や子供でも殆ど寝ながら行かれるというわけです。