Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
そんな関係からでしょうか、江戸の人で川越に親類があるとかいうのはたくさんありました。例の黒船一件で、今にも江戸で軍が始まるように騒いだ時にも、江戸の町家で年寄りや女子供を川越へ立退かせたのが随分ありました。わたくしが世話になっている家でも隠居の年寄りと子供を川越へ預けるというので、その荷物の宰領や何かで一緒に行ったことがあります。花の頃ではありませんでしたが、喜多院や三芳野天神へも参詣して来ました。今はどうなったか知りませんが、その頃は石原町というところに宿屋がならんでいて、江戸の馬喰町のような姿でした」
老人の昔話はそれからそれへと続いて、わたし達のようにうっかりと通り過ぎて来た者は、却って老人に教えられることが多かった。そのうちに、老人はまた話し出した。
「いや、この川越に就いては一つのお話があります。あなた方はむかし一書き物を調べておいでになるから、定めて御承知でしょうが、江戸城大玄関先きの一件……。川越次郎兵衛の騒ぎです。あれもいろいろの評判になったものでした」
「川越次郎兵衛……何者です」
「御承知ありませんか。普通は次郎兵衛と云い伝えていましが、ほんとうは粂次郎という人間で……」