Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
その一夜をいかに過ごしたか、お霜もよくは知らないのであるが、晦日に川越を立って三月の朔日に花川戸へ着いたお葉は、すぐに次郎兵衛と手を分かつことを好まなかった。自分の家は眼の先きにあると云って、ひと先ず彼を我が家に連れ込んで、中気で寝ている亭主の手前はなんと云いつくろったか、ともかくも二日のあいだは次郎兵衛を二階に引き留めて置いた。三日の午過ぎに、彼はようよう放たれて出たが、そのときにかの川越次郎兵衛の笠を置き忘れて来たのであった。
奉公先きに対する意見の相違で、彼は義兄の要作と衝突した。もう一つには、二、三日後には必ず尋ねて来てくれと、お葉から堅く念を押されているので、次郎兵衛はふらふらと飛び出して戸沢長屋へたずねて行くと、お葉はよろこんで迎えた。しかも自分の家に長く泊めて置くのは亭主の手前もあるので、お葉は近所のおきつという女髪結の二階に次郎兵衛を預けた。自分がいい仕事を見つけてやるから、武家奉公などは止めにしろとお葉も云った。
こんなことで幾日かを夢のように送っているうちに、主婦のおきつが何処からか聞いて来て、江戸城の天狗の一件を話した。証拠の笠に川越次郎兵衛と書いてあったという噂を聞いて、本人の次郎兵衛は顔色を変えた。