Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
「長さん。こっちへ来てくれ」
長三郎を自分の居間へよび入れて、伝兵衛はしずかに云い出した。
「若い者の手前、まことに面目のないことだが、ゆうべは少し失策をやったよ」
「どんなことですか」
長三郎はやはり素知らぬ顔をしていると、伝兵衛は自分の口から白い蝶の話をはじめた。それはさっきお安が長三郎に洩らしたと同じ出来事であった。伝兵衛は正直にゆうべの失策を打ちあけた後に、みずから嘲るように苦笑いをした。
「わたしも小身ながら武士の端くれだ。世に不思議だの、妖怪だのと云うものがあろうとは思っていない。怪力乱神を語らずとは、孔子も説いている。かの白い蝶の一件は、先日も白魚河岸の親類が来て、何か家内に話して行ったそうだが、わたしは別に気にも掛けずにいた。いや、まったくばかばかしい話だと思っていたのだ。ところが、おとといの晩は家のお勝も見た。お前の姉さんも見たと云う。まだそればかりでなく、あの水引屋の……職人の源蔵も見たと云う。源蔵は正直者で、むやみに嘘を云うような男でもない。してみると、これには何か仔細があるらしく思われる。就いては、物は試しだ。わたしは今夜、目白坂の辺へ行って、果たしてその白い蝶が飛ぶかどうかを探索してみようと思うのだが、どうだ、お前も一緒に行ってみないか」