Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
まったく困ったものだ」
何のかのと云うものの、誰かの手で金蔵らを挙げてしまえば論は無いのである。人相書が廻っている以上、遅かれ早かれ網にかかるものとは察しているが、それまでの間に何事もなければいいと、半七は思った。しかし前にも云う通り、科人が捕り手に対して仕返しをするなどということは滅多に無いのであるから、恐らく今度も無事に済むであろうと、彼も多寡をくくっていた。
雨は二、三日降りつづいた。一方の『正雪の絵馬』の一件はとかくに縺れて埒が明かない。半七も少しくじりじりしていると、日が暮れてから松吉が来た。
「よく降りますね」
「いくら商売でも、降ると出這入りが不便でいけねえ」と、半七はうっとうしそうに云った。
「大木戸の方はどうなりました」
「どうも眼鼻が付かねえで困っている。そこで、どうだ、こっちの一件は……」
「伝馬町の牢抜けは二人挙げられました」
「誰と誰だ」
「二本松の惣吉と川下村の松之助です」
金蔵の名がないので、半七は失望した。
「この二人は中仙道を落ちるつもりで板橋まで踏み出したが、路用がねえ。そこらを四、五日うろ付いた揚げ句に、宗慶寺という寺へはいって、住職と納所に疵を負わせて十五両ばかりの金を取ったのから足が付いて、ゆうべ板橋の女郎屋で挙げられたそうです。