Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
「猫に小判ということは聞いているが、これは鬼に小判ですぜ」
「おれもそんな事だろうと思った」
兜の金銀をぬすんだ奴は、自分のふところに納めて置くことを避けて、ひと先ずこの面箱のなかに押し隠したらしい。おぎんもその同類で、参詣をよそおってそっと取り出しに来たのか、あるいは偶然に二朱銀を見つけ出したのか。その申し立ての真偽がまだ判然しないので、ひと先ずおぎんを門番所へ連れて行って、取り逃がさないように監視を申し付けて置いた。
「仕方がねえ。こうなったらここで見張りだ。今夜じゅうには来るだろう」
「親分の夜明かしは御苦労ですね。家へ帰って誰か呼んで来ましょうか」と、勘太は云った。
「まあいいや。この頃は暑くなし、寒くなし、月はよし、まだ藪ッ蚊も出ず、張り番も大して苦にゃならねえ。おめえと一蓮托生だ」
兼松は笑いながら、勘太と共に夜叉神堂のうしろに隠れた。人目を忍ぶ身には煙草の火も禁物である。まして迂闊にしゃべることも出来ないので、二人は無言の行に入ったように、桜の蔭にしゃがんで黙っていた。
夜明かしを覚悟していた彼等は、幸いに早く救われた。その夜もまだ四ツ(午後十時)を過ぎないうち、一つの黒い影が夜叉神堂の前にあらわれた。