Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
ない為であろう。たとい養子には据わらずとも、ゆくゆくは暖簾でも分けて貰って、一軒の店の主人になるであろう、と、昔を知るものは噂している。
「成程、幾次郎という奴には、そういう因縁があるのか」と、半七はうなずいた。「そこで、その幾次郎は相変らず店に働いているのか」
「きょうも店に坐っていました」と、云いかけて、善八は少しく声を低めた。「近所の噂だけで、確かなことは判らねえのですが、和泉屋の女房は節句の晩あたりから家にいねえらしいと云うのです。もちろん和泉屋じゃあ内証にしていますが、店の小僧が使に出たとき、誰かにしゃべったそうで……」
「和泉屋の女房もいねえのか」と、半七も眼をひからせた。「節句の晩といえば府中の闇祭りの晩だ。その同じ晩に、伊豆屋の女房は府中で姿をかくし、和泉屋の女房は江戸で姿を隠す。いかに両方が知合いの仲だと云っても、まさかに女同士が誘い合わせて駈け落ちをしたわけでもあるめえ。妙な事になったものだな」
女房二人のあいだに何かの係り合いがあるのか、但しは偶然の一致か、半七もその鑑定に苦しんだ。善八も黙って考えていた。
「ああ、降る、降る」
ひとり言のように云いながら、幸次郎がはいって来た。