Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
と、半七はうなずいた。「野郎ひとりに三人がかりも仰山だが、折角来たものだから、総出としよう。おれは此のままで宿屋の貸下駄をはいて行く。野郎、あばれるといけねえから、おめえ達は支度をして行ってくれ」
三人は宿を出ると、今夜ももう五ツ(午後八時)過ぎで、まばらに暗い町の灯は雨のなかに沈んでいた。この宿には三、四軒の女郎屋がある。その一軒の吉野屋という暖簾をかけた店から、ひとりの若い男が傘もささずに出て来ると、又あとから其の相方らしい若い女が跣足で追って来た。
「しんさん、お待ちよ」
「知らねえ。知らねえ」
男は振り切って行こうとするのを、女は無理にひき戻そうとして、たがいに濡れながら争っている。宿場の夜の風景、別にめずらしいとも思われなかったが、しんさんと云う声が耳について、半七は不図みかえると、男はかのしん吉であった。
「おい、しん吉、いくら江戸を離れていると云って、往来なかで見っともねえぜ」
だしぬけに声をかけられて、しん吉は降り返った。格子さきの灯のひかり、彼は半七の顔をすかして視ると、俄かにおどろいて逃げ出そうとしたが、その利き腕はもう半七の片手につかまれていた。