Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
長三郎もあとに付いて、昼でも薄暗いような露路の溝板を踏んで行った。
露路の入口は狭いが、奥には可なりに広いあき地があって、ここら特有の紙漉場なども見えた。藤助の家にも小さい庭があって、桃の木が一本立っていた。
「ふうちゃん、居るかえ」
源蔵は表から声をかけたが、内には返事が無かった。三度つづけて呼ぶうちに、その声を聞きつけて、裏の井戸端からお冬が濡れ手を前垂れで拭きながら出て来た。
お冬は十五にしては大柄の方で、源蔵の云った通り、容貌はまず十人並み以上の色白の娘であった。右の眼に故障があるか無いかは、長三郎にはよく判らなかった。
「お父さんのたよりはまだ知れないかえ」と、源蔵は縁に腰をかけて訊いた。
お冬は無言で悲しそうにうなずいたが、源蔵のうしろに立っている前髪の侍をちらりと視たときに、彼女は慌てたように眼を伏せた。
「この若旦那は瓜生さんと仰しゃって、このあいだ亡くなった黒沼さんのお屋敷の隣りにいらっしゃるのだ」と、源蔵はあらためて長三郎を紹介した。「お前のお父さんに逢って、なにか訊きたいことがあると云うので、ここへ御案内して来たんだが、お父さんがまだ帰らねえじゃあ仕様がねえな」