Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
父の前をさがって、自分の部屋に帰って、彼は再び藤助の身の上について考えた。
藤助は生きているか、死んでしまったか。それにつけて思い出されるのは、当夜の彼の行動である。自分の近所に住んでいる御賄組の武士が怪しい変死を遂げたのを見て、火の番の彼は当然おどろき騒ぐべき筈であるのに、案外に彼は落ち着いていた。落ち着いていたと云うよりも、むしろ冷淡であるようにも見えた。長三郎が焦れて指図するので、彼はよんどころ無しに働いているようにも見えた。これには何かの仔細があるのではないかと、長三郎は考えた。
彼は長三郎に追い立てられて、渋々ながら医者を呼びに行った。その帰り路にゆくえ不明となったのである。そのほかにも、暗いなかで長三郎に突き当たって、声をかけた者がある。彼は何者であろうか。心が急くので碌々に返事もせずに別れてしまったが、彼もこの事件に何かの関係のある者ではあるまいか。あるいは彼が藤助を捕えて行ったのか、あるいは藤助を殺して、その死骸をどこへか隠したのかと、長三郎はまた考えた。しかも暗がりの出来事であるから、その相手の人相や風俗はちっとも判らなかった。