Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
「蝶々売が売りに来るのは、子供の玩具だ。勿論、あんな安っぽい物じゃあないが、どうも生きている蝶々とは思われない。白い紙か……それとも白い絹のような物か……どっちにしても、拵え物らしいよ。だが、その拵え物がどうして生きているように飛んで歩くのか、それが判らない。なにしろ不思議だ。あんな物は見たくない。あんなものを見ると、なにか悪いことがありそうに思われるからね。といって、わたしは商売だから、毎晩こうして廻っているうちに、忌でも時々見ることがある。気のせいか、あの蝶々をみた明くる日は、なんだか心持が悪くって……」
こんな話を聴かされて、三人はますます肌寒くなって来た。お勝はお北の袂をそっと曳いた。
「もう行きましょうよ」
「ええ、行きましょう」と、お北もすぐ同意した。
「そうだ。だんだんに夜が更けて来る。お嬢さんたちはお屋敷の前まで送ってあげましょうよ」と、源蔵が云った。
藤助に別れて、三人はまた足早にあるき出したが、音羽の通りへ出るまでに、蝶は再びその白い影をみせなかった。娘たちの組屋敷は音羽七丁目の裏手にあるので、源蔵はそこまで送りとどけて帰った。
お北の父の瓜生長八は、城中へ夜詰の番にあたっていたので、その夜は自宅にいなかった。