Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
幸之助の家出、お北の家出、両家ともに努めて秘密にしていたのであるが、女中らの口からでも洩れたと見えて、早くも組じゅうに知れ渡ってしまった。
取り分けて、人々をおどろかしたのは、黒沼の娘お勝の死であった。前にも云う通り、お勝は先月以来引きつづいて病床に横たわっていて、急養子の幸之助とは名ばかりの夫婦であったが、その幸之助が家出すると又その跡を追うように隣家のお北が家出したことを知った時に、お勝は枕をつかんで泣いた。
「口惜しい」
そのひと言に深い意味のこもっていることは、母のお富にもよく察せられたが、まだ確かな証拠を握ったわけでもないので、表立って瓜生へ掛け合いにも行かれず、さしあたりいい加減に娘をなだめて置くと、お勝は母や女中の隙をみて、床の上に起き直って剃刀で喉を突き切った。お富がそれを発見した時には、娘はもう此の世の人ではなかった。別に書置らしい物も残していなかったが、その自害の原因が「口惜しい」の一句に尽くされているのは疑うまでもないので、お富も身をふるわせて口惜しがった。
まだ正式の祝言は済ませないでも、幸之助がお勝の婿であることは、組じゅうでも認めている。