Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
元八はひき戻して、再びその手を掴んだ。
「おい、姐さん。そんなに強情を張るもんじゃあねえ。まあ、素直におれの云うことを……」
その言葉が終らないうちに、彼の襟髪は何者にか掴まれていた。はっと驚いて見かえる間もなく、彼は冷たい土の上に手ひどく投げ付けられた。いよいよ驚いた彼は、顔をしかめて這い起きながら見あげると、その眼の前には虚無僧すがたの男が突っ立っていた。自分を投げた男ばかりでなく、ほかにも猶ひとりの虚無僧が女を囲うように附き添っていた。
相手は二人で、しかもそれが虚無僧である以上、相当に武芸の心得があるかも知れないと思うと、元八は俄に気怯れがして、彼らに敵対する気力もなかった。虚無僧は無言で立っていたが、天蓋の笠越しに屹とこちらを睨んでいるらしいので、元八はいよいよおびえた。彼はからだの泥を払いながら、これも無言ですごすごと立ち去るのほかはなかった。
七、八間ほども引っ返して、元八はそっと見かえると、虚無僧らの姿も女のすがたも、もうそこらに見えなかった。彼らは森のなかへ入り込んだらしかった。
「あいつらは道連れかな」と、元八は立ちどまって考えた。