Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
「なんにも云って行きませんよ」と、お由は素気なく答えた。
「おかみさんは……」
「おかみさんも留守ですよ」
「二日の晩から居ないのかえ」
お由は無言であった。
「隠しちゃあいけねえ。おかみさんは本当に二日の晩から帰らねえのだろう」
お由はやはり無言であった。半七は舌打ちしながら幸次郎を見かえった。
「また両国と同じ芝居を打たにゃあならねえ。女を嚇かすのはおめえに限る。まあ、頼むよ」
四
お由は下総の松戸の生まれで、去年の三月からこの家に奉公して、今まで長年しているのであった。ことし十八で、いわゆる山出しの世間見ずではあるが、正直一方に働くのを取得に、主人夫婦にも目をかけられていた。そういう女であるから、宗兵衛夫婦のあいだにどんな秘密がひそんでいるかを勿論知っている筈はなかった。彼女は幸次郎に嚇されて、ただふるえているばかりであったが、それでも途切れ途切れにこれだけの事を語り出した。
「旦那とおかみさんとは去年の夏頃からたびたび喧嘩をしていました。去年の暮に一旦別れるような話もありましたが、まあ其の儘になっていたのです。今月の二日の晩に、おかみさんは宵から出て行きましたが、出先でまた旦那と喧嘩をしたと見えて、散らし髪になって真っ蒼な顔をして帰って来て、癪が起ったと云って暫く横になっていました。