Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
「手金を戻しただけで、先方が素直に納得してくれればよし、万一不得心のようであったならば、手金の二倍増し、三倍増しでも……。掛け合いの模様によっては、十倍増しでも苦しくない。なんとか纏まるように相談してくれ。唯今も申す通りの仔細であれば、当方では金銭に糸目はつけぬ。なるべくは屋敷の名を出したくないと存ずるが、どうでも貴公の手にあまって、手前の直談でなければ埒があかぬようならば、手前がその人に会ってもよい。いずれにしても、なにぶん一つ働いて貰いたい」
「かしこまりました。せいぜい働いてみましょう」
武士はすこし顔の色を直して、ふところから五十両の金を出した。
「ともかくもこれだけ預けて置いて、あとは明日持参いたすが、あの仮面は手前の方へ譲ってくれるな」
「足もとを見てお高いことを申し上げるわけにもまいりませぬ。けさほどのお客様には百五十両にねがいましたのでございますから、やはりそのお値段でお願い申しとう存じます」
「承知いたした。では、くれぐれも頼む」
かたく約束して、武士は帰った。伊藤の店には二人の手代がいるが、どちらも得意先へ出廻った留守であったので、この掛け合いは主人ひとりの胸に納めて、誰にもそれを洩らさなかった。