Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
た者がある。いやなに、普通の真鯉でも紫鯉でも別段に変りはあるまいという者もある。それが昂じて高山も、物はためしだ、おれも一度は是非その鯉を食いたいと云うと、酌をしていたお糸はなんと思ったか、旦那がそれほどに喫べたいと仰しゃるなら、わたくしがすぐに取ってまいりますと云う。これにはみんなも驚いて、さすがは高山の奥方だ。ほんとうにその鯉を取って来て下さるなら、我々もその御相伴にあずかりたいものだと冗談半分にがやがや云うと、お糸はどうぞ暫くお待ちくださいと云って座を起った。こっちは酔っているので別段気にも留めないで飲んでいると、お糸はいつまでも座敷へ戻って来ない。どうしたのだと女中に訊くと、さっき表へ出たぎりで帰らないという。それではほんとうに取りに行ったのかとは云ったが、よもやと思って笑っていると、やがてお糸がお待ち遠さまでございましたと持ち出して来た皿の上には、眼の下一尺あまりもあろうという大きな鯉が生きていて、しかもその鱗が燭台の灯にも紫に映ったので、みんなもあっと驚く。高山は上機嫌で、なるほどお糸でなければ出来ない芸だ。方々も褒めておやりなされ、この高山も褒めてやるぞと、飛んだ陣屋の盛綱を気取って、扇をあげて褒めそやすと、ほかの連中も偉い偉いと扇をひらいて煽ぎ立てる。