Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
いや、実にばかばかしい話ですが、昔はこんな連中がいくらもあったものです。天下の役人がこの始末、まったく江戸も末でしたよ」
「すると、そのお糸という女が草履屋の店へ化け込んだのですね。それにしても、どうしてその鯉のあることを知っていたのでしょうね」
これは私でなくとも当然に起るべき疑問であろう。半七老人はご尤もとうなずいて、又しずかに語り出した。
「それは自然にわかります。まあ、おちついてお聴きください。この探索をはじめる時に、わたくしはきっとこの事件には魚屋が係り合っていると睨みました。草履屋の亭主はどんなに鯉が好きか知りませんけれども、自分が食うばかりでなく、どこへか売り込むに相違ない。それには魚屋の味方があると思いましたから、女房のお徳をだんだんに詮議すると、案のじょう、近所の川春という仕出し屋の手でどこへか持ち込むことが判りました。川春はなかなか大きい店で、旗本屋敷や大町人の得意場を持っている。前に云ったような人間の多い時代ですから、旗本の隠居や大町人の贅沢な奴らが川春の宇三郎にたのんで、御留川のむらさき鯉を食うのがある。魚の味は格別に変りはないのですが、そこが贅沢で、食えないものを食うという一種の道楽です。