Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
と、老人はうなずいた。「なんでも文化の初め頃に、十一代将軍の川崎御参詣があったそうで……。御承知の通り、川崎は厄除大師と云われるのですから、将軍は四十二の厄年で参詣になったのだと云うことでした。それが世間に知れ渡ると、公方様でさえも御参詣なさるのだからと云うので、また俄かに信心者が増して来て、わたくし共の若いときにも随分参詣人がありました。明治の今日はそんなことも無いでしょうが、昔はわたくし共のような稼業の者には信心者が多うござんして、罪ほろぼしの積りか、災難よけの積りか、忙がしい暇をぬすんで神社仏閣に足を運ぶ者がたくさんありました。わたくし共も川崎大師へは大抵一年に二、三度は参詣していましたが、どうも人間は現金なもので、明治になって稼業をやめると、とかく御無沙汰勝ちになりまして……。それでも正月の初大師だけは、まあ欠かさず御参詣をして、大師さまに平生の御無沙汰のお詫びをしているんですよ。くどくも云う通り、こんにちは便利でありがたい。きょうも午頃から出て行って、ゆっくり御参詣をして、あかりの付く頃には帰って来られるんですからね。むかしは薄っ暗い時分から家を出て、高輪の海辺の茶店でひと休み、その頃にちょうど夜が明けるという始末だから大変です。