Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
案外の手がかりがあるかも知れません」
四
あくる日の朝、半七は八丁堀同心坂部治助の屋敷へ呼ばれた。すぐに行ってみると、それは彼の鈴ヶ森の一件で、変死人は市内の屋敷者らしいから、町方の方でその身もとを詮議して貰いたいと郡代からの依頼があった。下手人も分明次第に召し捕ってくれというのである。
「そういう訳だから、なんとか埒を明けてくれ」と、坂部は云った。
「かしこまりました。わたくしにも少し心あたりがありますから、早速取りかかります」
こうなると子分任せにもして置かれないので、半七はその足で品川へ出向いた。
このあいだの大雪以来、もう十日あまりの天気がつづいたので、大通りのぬかるみも大かたは踏み固められた。この頃の寒い風もきょうは忘れたように吹きやんで、いわゆる梅見日和の空はうららかに晴れていた。高輪の海辺をぶらぶらあるいて行くと、摺れ違う牛の角にも春の日がきらきらと光って、客を呼ぶ茶屋女の声もひとしお春めいてきこえた。品川の北から南へ通りぬけて、宿のはずれへ来かかると、ここらには寺が多い。その門内には梅でも咲いているのであろう、ところどころで鶯の声がきこえて、無風流の半七もときどきに足を止めた。