Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
鍋久は鉄物屋といっても主に鍋釜類をあきなう問屋で、土地の旧家の釜浅に次ぐ身代であると云われていた。先代の久兵衛は先年世を去って、当主の久兵衛はまだ二十歳の若者である。久兵衛のほかに、母のおきぬ、女中のお直、小僧の宇吉、あわせて四人が浅草の開帳を拝みに出たのは、三月二十九日の陰った日で、家を出るときから、空模様が少しく覚束ないように思われたが、あしたは晦日で店を出にくいというので、女中と小僧に傘を用意させて、母子は思い切って出て来たのであった。
来てみると、境内は予想以上の混雑で、雷門をはいるともう身動きもならない程に押し合っていた。こんな陰った日であるから、定めて混雑しないであろうと多寡をくくっていた鍋久の一行は、今更のように信心者の多いのに驚かされながら、ともかくも仲見世から仁王門をくぐると、ここは又一層の混雑で、鳩が餌を拾う余地もなかった。
それでも、どうにかこうにか本堂へあがって、型のごとくに参詣をすませたが、ちょうど今が人の出潮とみえて、仁王門と二天門の両方から潮のように押し込んで来るので、帰り路はいよいよ難儀であった。鍋久の一行はその群衆に押されて揉まれて、往来の石甃の上を真っ直ぐに歩いてはいられなくなった。