Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
「おかげ様で災難を逃がれました。伜は勿論、わたくし共もみんなうっかりして居りまして、あなたが教えて下さらなければ、飛んだ目に逢うところでございました」と、おきぬも丁寧に礼を云った。
「いえ、御挨拶では痛み入ります」と、娘も淑やかに会釈した。「余計な口出しをするでもないと存じましたが、見す見すあの巾着切りが悪いことをするのを知っていながら、黙っているわけにも参りませんので……」
「ほんとうに有難うございました。あなたはお一人でございますか」と、おきぬは又訊いた。
「はい、父が病気で臥せって居りますので……」
髪容もつくろわず、身なりも木綿物ずくめで、こういう繁華の場所へ出て来るのであるから、裕福の家の娘でないことは判り切っていたが、それが町人や職人の子でないこともすぐに覚られた。おそらく浪人者の子か、貧しい手習い師匠の娘などであろうと、おきぬ等は想像した。娘は父の病気平癒のために観音さまへ日参しているというだけのことを話して、自分の住所も姓名も名乗らずに別れて行った。おきぬは小僧の宇吉に耳打ちして、娘のあとを見えがくれに尾けさせた。
巾着切りの災難を救ってくれた礼心ばかりでなく、年ごろの伜を持っているおきぬは、かの娘の身許を知って置きたいと思ったのである。