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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

旧暦の盂蘭盆過ぎで、ことしの秋は取り分けて早かった。この二、三日は薄ら寒いような雨が降りつづいて、水嵩の増した新堀川はひえびえと流れていた。鍋久の嫁のお節は十日ほど前から風邪を引いたような気味で、すこし頭痛がするなどと云っていたが、医者に診て貰うほどの事でもないので、買い薬の振り出しなどを飲んでいるうちに、二十九日の朝から何だか様子が変って来た。彼女は怖い眼をして人を睨んだ。これまで暴い声などを出したことの無い彼女が、激しい声で女中を叱ったりした。病気で癇が昂ぶったのであろうから、なるべく逆らわないがいいと、おきぬは久兵衛に注意していた。

鍋久の店では四ツ(午後十時)を合図に大戸をおろそうとした。その時、奥の若夫婦の居問で、ただならぬ久兵衛の叫び声がきこえた。

「これ、お節……。どこへ行く……。これ、お節……」

その声を聞きつけて、母のおきぬは茶の間を出てゆくと、長い縁側の途中でお節に出逢った。若い嫁は顔も隠れるほどに黒髪を長く振り乱して、物に狂ったように駈け出して来たので、おきぬは驚きながら、ともかくもそれを支えようとすると、お節は力まかせに彼女を突きのけた。