Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
騒ぎはいよいよ大きくなって、店からは幾張の提灯をとぼして出た。近所の店の者も提灯を振って加勢に出た。大勢の人々が雨夜の河岸を奔走して、そこか此処かと探し廻ったが、二、三日降りつづいて水嵩の増している川の面に、お節の姿は浮かびあがらなかった。河岸につないである小舟を出して、無益にそこらを尋ね明かしているうちに、その夜はむなしく更けて行った。
「これが昼間ならばなあ」
何分にもこの時代の夜は不便であった。岸の上に、水の上に、無数にひらめく提灯の火も、遂に若い女ひとりの姿を見出し得ずに終った。この川下は永代橋である。死体はそこまで押し流されて、広い海へ送り出されてしまったのかも知れない。人々は唯いたずらに溜息をつくばかりであった。
お節の身投げも意外の椿事に相違なかったが、鍋久の家内には更におそろしい椿事が出来していた。主人の久兵衛は何者にか頸すじを斬られて、半身を朱に染めて倒れていたのである。おきぬがそれを発見した時、彼はもう息の絶えた亡骸となっていた。
久兵衛を殺したのは何者か。若い者の新次郎がお節を追い捉えようとした時に、投げ付けられたのは剃刀であって、それは店さきの往来で発見された。