Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
新次郎は別に怪我もなかったが、お節が刃物をたずさえて狂い出したのを見れば、彼女が夫の久兵衛を殺害して、自分も入水したものと認めるのほかは無い。
検視の役人らもそう鑑定した。立ち会いの医者の意見も同様で、おそらくお節が突然に乱心して、夫を殺し、自分も自滅したのであろうというのであった。その日の朝から彼女の様子が常に変って見えたというのも、それを証拠立てる一つの材料となった。
いつの世にも乱心者はある。乱心者が何事を仕出来そうとも致し方がないというので、役人らも深い詮議をしなかった。鍋久でも世間の手前、この一件を余り公け沙汰にしたくないので、役人らにもよろしく頼んで、いっさいを内分に納めることにした。主人久兵衛は急病頓死と披露して、ともかくも型の如くに葬式を済ませた。お節の死骸は遂に発見されなかった。
こうして一旦は納まったものの、お節の入水も久兵衛の変死も近所ではみな知っているのであるから、人の口に戸は立てられぬという譬えの通りで、その噂はそれからそれへと伝わって、神田の吉五郎の耳にもはいった。
「鍋久の嫁が剃刀で亭主を殺した……。気ちがいに刃物とは全くこの事だから、どうも仕方がねえ。