Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
いわゆる悪女の深なさけで、女の方はもう夢中になっていたんです。親父の重兵衛も勿論承知で、ゆくゆくは夫婦にすると云っていたくらいですから、万次郎も今度の役を引き受けなければなりませんでした。万次郎は年も若いし、腹のしっかりした悪党というのでもありませんが、つまりは慾に引っかかって、重兵衛の指尺通りに働くことになったんです。そこで、丸多の主人をうまく嚇し付けて、最初に百両ずつ二度も引き出したんですが、重兵衛はそのくらいの事で満足するのじゃあない、どうしても何千両の夢が醒めないので、いろいろに万次郎をけしかけて、ますます丸多いじめにかかっていると、相手の多左衛門は絵馬をかかえて家出をしてしまったので、この計画は腰折れの形になりました。それでも丸多の女房や番頭を嚇かせば、まだ幾らかになると思っているうちに、重兵衛は心にもない人殺しをする事になったんです」
「重兵衛が丸多の主人を殺したんですね」
「多左衛門が家出をしてから三日目、即ち三月二十八日の晩に、重兵衛は淀橋にある自分の家作を見まわりに行って、それから千駄ヶ谷の又助という建具屋へ寄って、雨戸一枚と障子二枚をあつらえて、夜もやがて四ツ(午後十時)という頃に、提灯をぶら下げて、例の高札場に近い土手へさしかかると、大きい松の木の下にぼんやり突っ立っている人影が見える