Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

とけい

時計

宮本 百合子

Lesen Sie 時計 (とけい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.956 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

計らず手に入ったこの腕時計を私は重宝し、無事息災に五年間もっていた。たまには手頸につけたり、多くの時はハンドバッグに入れたりして。出来のよいのに当ったと見えて、この時計は殆ど進んだりおくれたりしたことがなかった。その正確さを私は深く愛していたのであった。

三二年の二月に私は結婚した。或る晩、風がつよく吹いて、小さい二階をゆるがすような宵、私共は机を挟んで坐っていて、その机の上においた時計の話が出た。さっぱりしているし、ちっとも狂わないから好きさ、と私は云って、ガラスの面を拭いた。良人が、いいねと手にとって眺めていたが、僕にかしておくれなと云った。僕のはホラあれだろうと笑い出した。私も笑わざるを得なかった。彼のクローム腕時計はクロノメータア・ミリカという名をもっているのであったが、ミリカとは何の意味か、夏になるとそれは一日三十分ほどおくれる時計であった。冬になると同じ位きまって進んだ。その時分は寒かったから、何時? ときくと、サア、俺の時計では何時だよ、と答えなければならない有様だった。私は暫く躊躇したが、じゃ、なくさないで。そう云って、彼の皮紐に私のその時計をつけ、クロノメータア・ミリカへ、細い黒リボンとルネサン風の模様をうち出した止金とをうつした。