Japanische Klassiker mit Furigana
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じかん
時間
横光 利一
Lesen Sie 時間 (じかん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.473 Zeichen · 32 Bildschirme
を今頃出している頃だとしても直ぐこっちの難所へは気がつかず、もう一本の道の方へ廻るだろうと栗木がいうとそれもそうだと安心はしたものの、こっちの道にしたって誰も一度も通ったことのあるものはないのだから、行くさきざきに何があるのかどこにどんな畑があるのかそれも分らず、雨に洗われた砂地からしきりに頭を擡(もた)げている石ころ道がいくらか足さきでうすぼんやりとしているくらいのものである。一団のものも必死とはいうもののだんだん不安が募って来たと見えてあまり誰も饒舌(しゃべ)らない。ただ木村だけが余裕を見せて日頃の幾分社会主義めいたことを口走り、こんなに皆を苦しめた座長の奴なんか今度逢ったら殴ってやるというと、忘れていた座長への一団の鬱憤が俄に高まって来て、殴るどころか海の中へ突き落してやるというものがあるかと思うと海の中ではこと足りない自分は石で頭を割ってやるという者もあり、焼火箸で咽喉(のど)をひと突きに突き殺すという者もあり、いや焼火箸なんかではまだ足りぬというものもあると中央で黙っていた病人がいきなりわッと泣き出した。すると、病人を背負っていた八木が立ち停ってしまって動かない。