Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じかん

時間

横光 利一

Lesen Sie 時間 (じかん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.473 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

と、初めてそこで皆の者もその気になりかけてそれでは仕方がないから揃って一緒に逃げようということに何となく決ってしまった。

しかし、さていよいよ逃げるとなると海に沿った断崖の上の山道を七八里も峠を越えて歩かなければならないのだから病人を背負って逃げるのはこれはたいへんなことなのだ。しかも無頼漢の眼をくらませて殊に雨風の中を町の湯へ行くように見せかけて一人ずつ手拭をぶら下げて出ていかねばならないのだ。だが、そうかといってそのままぐずぐずしていては御飯が食べられないのだから腹が空くばかりだし、これはもう無茶でも次の駅まで闇にまぎれて逃げていく一手よりないのである。そこで私は波子の枕もとへいって一度立ってどれほど歩けるものか歩いてみよというと、彼女は立ちは立ったが直ぐ眼が廻るといって蒲団の上へふらふらっとうずくまってしまってまるで骨無し同様な有様なので、私も皆に波子を連れて逃げることを一時の同情からすすめはしたもののこんなことならいっそのことここへ一人残していく方が本人のためでもあり皆のためでもあるとまた思い直して、波子にやっぱりここに一人あなただけ残っている気はないか、残っていたってまさか宿の者は病人を殺すようなこともしなかろうしそのうちに私が金を直ぐ送ってやるからというと、波子はまたわっと泣いてここに一人残さ