Japanische Klassiker mit Furigana
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こよみ
暦
壺井 栄
Lesen Sie 暦 (こよみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.332 Zeichen · 112 Bildschirme
そして姉妹にまで体裁を作らねばならない境遇の中で、気ばかりつかって暮しているカヤノに、同情と反感の交錯した気持で、背中をどやしつけてやりたいようなもだもだしたものを持たされた。いったん船室へ姿を消したカヤノはすぐ身がるになって出てきた。作太郎が年とっているせいでじみ作りなカヤノは、ミチよりもずっと老けた身なりをしてはいたが、子供のないせいか肉づきもよく、四十すぎた女とは思えない若さが溢れていた。舷の手摺りにからだを斜めにしてよりかかったカヤノは、桟橋に並んでいる姉妹たちを丸い笑顔で見下し、
「高ちゃん、東京い帰にしなにまたよってか、ご馳走するわ」
と、あかるい声を出す。電灯を正面に受けた、はればれとした顔は、さっきまでの落ちつかなさとは別人のようであった。どうかすると気短かではあるが何事にも気の大きなカヤノと反対に作太郎は細かい、計算をすきな男であった。そのためにいつも起っていた争いを、実枝は四年の間にいやというほど見せつけられてきた。そしてカヤノは、
「うちが二度目やなかったらこんなとこ飛びだしてやんのやけどなあ」と、泣きながら小さい実枝に訴えたこともあった。