Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あらしのなか

暴風雨の中

山本 周五郎

Lesen Sie 暴風雨の中 (あらしのなか) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.339 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

家がぐらっと大きく揺れ、二人はいっそう強くお互いを抱き緊めた。まるく艶やかな娘の脇腹が波をうつようにひきつり、濡れた晒木綿の絡みついた足が、まるで死の痙攣のように斂縮した。

「うれしい、三ちゃん」

偶然に二人の唇が触れ合った。そのとき家ぜんたいが宙に浮いた、ふわっと、まるで宙へ浮きあがるように感じられ、柱や梁がぶきみにきしみ、大きく揺れたと思うと、家は西側の方へ、ずずっと三尺ばかり傾いた、そちら側の土台が落ちたのであろう、積んであった家具や箱などが音をたてて転げだし、抱き合っている二人も倒れそうになった。

「おれは考え直した、おしげさん」三之助は顔を引き離して云った、「このまま死ぬなら、一緒に死のう、けれども、死ぬときめるのはよそう、死ぬかもしれないが、助かるかもしれない、いいか、もしも助かったら、二人で生きるくふうをしよう、わかるか」

娘は喘ぎながら頷いた。家が傾いたので、水はずっと隣りの部屋まで押して来た、水に浮いた家具が互いにぶっつかりあい、障子の折れる音がした。

「このようすじゃあだめだろう、もう死んだも同然だ、もし万が一、助かるとしたら、新しく生れ変ったようなもんだ、そう思わねえか、おしげ」