Japanische Klassiker mit Furigana
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きょくていばきん
曲亭馬琴
邦枝 完二
Lesen Sie 曲亭馬琴 (きょくていばきん) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.788 Zeichen · 24 Bildschirme
「さア、そうまいれば、不足はないのでございますが、宗仙という名前は貰いましたものゝ、まだまだ生きた人間を診察いたしますことなどは、怖くて、容易に手出しは出来ませぬ」
「あッはッはッ」と、京伝は初めて屈托なさそうに笑った。「こいつアいい。医者の名前まで貰いながら、生きた人間が診られねえとは、変った人だ。――だが、何んだぜ。生きた人間を診察出来ねえようじゃ、到底戯作の筆は把れアしねえぜ」
「そりゃまたなぜでございます」
「積っても見るがいゝ。この世間の、ありとある幸不幸を、背負って生れて来た人間を、筆一本で自由自在に、生かしたり殺したりしようというのが、戯作者の仕事じゃねえか。それだのにお前さん、生きた人間は怖いなんぞと、胆ッ玉の小さなことをいってたんじゃ、これア見世の出しようがねえやな」
「ど、どういたしまして」馬琴はあわてて遮った。「そんなんじゃございません。生きた人間と申しましても、患者、つまり病人を診るのがいやだと申しましたんで。……なアに、筆でやりますことならば、二日や三日寝ずに通しましても、決して辛いとは思やアしません。どうかこの上は、人間一人を助けると思し召して、先生の御門下にお加え下さいますよう、お願い申上げます」